夢の扉+で紹介
●蚊の技術で痛くない注射針を作る
関西大学システム理工学部 教授:青柳誠司
知らぬ間に人肌を刺す蚊
注射は痛いのに、どうして蚊に刺されても痛くないのか?
彼は蚊が血を吸っても痛くない謎を科学的に解析
蚊がどのように針を動かしながら刺しているのか?カメラで観察し傷みが少ない針の開発につなげる
用意したのは毎秒1000コマ撮影できる高速度カメラ
目の消毒などに使うホウ砂を蚊の好む砂糖水に混ぜて作る透明で皮膚のように柔らかいスライム
スライムをつけた場所にニクロム線を設置し、37度まで上昇させる
そのスライムを人間の肌に見立てて、刺すメカニズムを解明する
蚊の針は1本ではなく、3本もの針状の器官が存在した
まず片側の針が刺す
次にその針を引き抜くと同時に血を吸う真ん中の針を挿入
そして抜かれるや、3本目の針が入る
3本の針が連動しながら最小限の穴を掘り進めている
形状はまるで鋸のようにギザギザ
鋸上の方が皮膚とこすれる面が少ないため傷みが減る
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14年前、蚊の針が鋸上であることを知った青柳
針を鋸上にすれば痛みの少ない注射針ができるはず
何種類もの鋸針をデザインした
だが大学の研究室だけでは技術的に不可能だった
その時、医療機器メーカー:ライトニックス福田光男が協力を申し出た
2人はまず蚊の構造を調べ尽くすことに
それには生きている蚊が大量に必要だった
駆け込んだのはKINCO
福田は青柳のアイデアを形にした採血などに使うランセット針
ギザギザした形状によって刺した時の痛みが減ると云う
20の医療現場に2万個納入した「ピンニックス ライト」
青柳が望んでいる針はまだ先があった
幾何学模様がプリントされているフォトマスクと云う特殊ガラス
拡大すると本物の蚊と同じ大きさ、形状の針の型が並んでいる
薄いシリコンの板をフォトマスクに重ねる
紫外線を照射
これによってフォトマスクの針の型がシリコンの板に転写される
そして針をプラズマを使って削り出していく
削り出されたパーツの厚みは、わずか0.05mm
最後にパーツから切り離せば完成
その細さは蚊と同じ0.015mmと0.03mm
市販されている最も細い注射針と比べても圧倒的に細い
顕微鏡で確認すると蚊の針を模したギザギザが形作られていた
そして青柳は電圧を微妙にコントロールし3本の針が連動するプログラムを作り上げた
振動させながら挿入した際の皮膚への圧力を、振動させていない時と比較した結果、その数値は1/3
圧力が少ないほど注射時の痛みは軽減されると云う
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