夢の扉+で紹介
●ひざ軟骨や皮膚を培養する再生医療
iPS細胞の研究によって実用化されたひざの絶え間ない痛みを取り除き、
命を落とすような酷い火傷から救い出す再生医療
J-TEC事業開発室長:畠賢一郎
歯科医として口腔外科医の道を歩んでいた畠は一人でも多く再生医療で救いたいと医療メーカーに転向
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●国内第1号となった再生医療製品「培養表皮」
皮膚の中でも一番外側にあたる表皮を人工的に増やしたもの
一枚の大きさは8×10㎝、厚さは1/100ミリほど
5年前、病院からかかってきた一本の電話
「患者は全身に火傷を負っています。培養表皮以外、救命は不可能です」
愛知県内の病院に運び込まれたのは、まだ5歳の男の子だった
成人の場合、生死を分ける火傷の面積は全身の40%
男の子の火傷は92%にまで及んでいた
通常の治療では火傷を負っていない皮膚から移植を行っていく
ところが今回、男の子に残された皮膚はあまりに少なかった
そこで畠の培養皮膚が発揮されることに
自分自身の細胞から培養する
必要とされる患者の皮膚はわずか切手ほどの大きさ
およそ3週間かければ全身を覆うほどの大きさまで増やすことが出来る
元は自分の細胞なので懸念される
ところが当時、1枚当たり30万円の培養表皮は保険の適用が認められていなかったため、治療を行えば莫大な治療費となる
「費用は会社で負担しましょう。男の子の命を救えるかもしれない」と畠が立ち上がった
手術では2回に渡って計40枚の培養表皮を移植
生存率は3%と言われた男の子…入院から11か月後に無事退院した
命を守る為、会社が負担した費用は約1200万円
翌年には保険が適用され5年間で250人以上も患者に培養表皮を提供
皮膚の培養にかかる期間は3週間
年間30件近い注文のうち、製造半ばで終わってしまうケースは全体の4割にもなる
その場合、途中までかかった費用は会社が負担しなければならない
●2012年7月に認可を得た「培養軟骨」
ひざの治療の名医:越智光夫(広島大学病院)
患者自身のひざ軟骨を培養する再生医療技術
製品化するために手を組んだのが畠がいる会社
4月から保険が適用され培養軟骨が多くの患者を救う事になる
(1症例あたり約200万円)
そもそも軟骨は骨同士がぶつかるのを防ぐクッションのような役割
この軟骨、一度損傷すると自然に治る事はない
これまでは軟骨を形成するヒアルロン酸の注射や人工関節に置き換える手術が主流だった
そんな医療の常識を覆すのが培養軟骨
患者自身の軟骨細胞を採取し4週間培養、再びひざに戻す三次元培養軟骨移植術
保険適用後の初の移植手術は無事成功した
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