池上彰が伝える日本人なのに実は知らない日本
●謎多き日本語
ひらがな、カタカナ、漢字と3つも文字があり、
日本人が使う漢字は同じ文字なのに音読みと訓読みの読み方
世界のほとんどの国が1種類、場合によっては2種類の文字を使っているが、
3つの文字を使う国は世界でも日本だけ
日本で元々使われていた大和言葉は、
書き言葉を持っていなかったため中国から漢字を輸入した
・「ひらがな」と「カタカナ」
平安時代の女性貴族が恋文で流行らせたのが「ひらがな」
最初は漢字で書いていたが、女性が崩し字で書いているうちに「ひらがな」が生まれた
中国から仏教が伝来した仏教の経典を書き写すお坊さんが、
漢字の横にカタカナでルビを振るようになり「カタカナ」を生んだ
漢字を「ひらがな」にした人と「カタカナ」にした人が同時期に存在し、
そのまま両方が広まったため2つとも今に残っていったという
・日本製の漢字
中国では8万5千の漢字があるが、日本では5万字ほど使っている
多くの漢字は中国の漢字をそのまま使っているが、
日本で独自に作られた漢字もある
日本で出来た漢字は字を見れば意味がすぐに分かる
例えば、弱くてすぐに腐る「鰯」、山を上って下る「峠」、火で焼いて「畑」を作るなど
1500字くらいは日本で作られた漢字と言われている
・音読み
中国から伝わった時代で音読みの読み方が何通りもある場合がある
「平」→「平等」ビョウは6世紀、「平和」ヘイは7世紀半ば以降
・訓読み
「山」を意味する漢字が中国から「サン」という読み方で伝わった時、
日本人は「やま」を「也麻」の漢字で表していた
「也麻」よりも「山」の方が、簡単で覚えやすかったため、
「山」を音読みで「サン」、訓読みで「やま」と読み方が広まった
スポンサーリンク
・翻訳言葉
日本人は日本語を大切にするから英語が苦手になったと言われる
明治になると欧米から新しい文化や考え方が入ってきたが、
当時はそれらに当てはまる日本語が存在しなかった
そこで日本の知識人たちが、欧米の思想や科学技術の言葉を
日本語で理解できるように一つ一つ翻訳していった
「economy」→経世済民:世の中を治め人民の苦しみを救うこと
「経世済民」の「経」「済」を取って「経済」に
ちなみに中華人民共和国の「共和」は「republik(オランダ語)」を日本で翻訳した言葉
偉大な教育者でもある福澤諭吉は、西洋文学に詳しく、
仲間と共に「演説」「討論」「革命」など様々な翻訳言葉を作っていった
翻訳言葉ができなかった東南アジアでは、欧米から入ってきた英語で授業が行われた
日本の場合は、学術用語を日本語に置き換えたので日本語で高度なレベルの授業が行えるようになった
1945年、日本が戦争で負けると、アメリカは教育使節団を送り込み、
日本の教育を改革させようとした
その一つが軍国主義教育の排除
日本が2度と戦争しないように民主的な教育を進めた
漢字とカタカナとひらがなと3種類の文字を一生懸命覚えるのが大変で、
科学的な発想法、科学の勉強をする暇がなかったのではないか?
色んな文字を使うのを止めてアルファベット26文字にすれば覚えるのが簡単、
だから日本語をアルファベット表記にしなさい、という提案された
困り果てた政府は、当面用いる漢字を選定した。それが「当用漢字」
1981年、日本の漢字の方針が変わった
「当面用いる漢字」ではなく「常に用いる漢字」にし
義務教育までに習う漢字の基準として「常用漢字」を指定
・読み方が変わってしまった漢字
「白夜」→元々は「はくや」だったが、「しれとこ旅情」を作詞した森重久彌が
間違って「びゃくや」と歌い広まった
「他人事」→元々は「人事」と書いて「ひとごと」だったが、
「人事(ジンジ)」と間違って呼ばれるため、他人の事だから「他人事」とした
この経緯を知らない人が「たにんごと」と読むようになった
漢字は、みんなが間違えれば、それが正しいモノになる多数決の原理
スポンサーリンク
コメント