●送受信が同時にできる無線の必要性
タイタニック号には当時
最新鋭のモールス信号を発信する無線機が積み込まれていた
その日、通信士:ジャック・フィリップスは
膨大な無線のやり取りに追われていた
上流階級の乗客たちは、最先端の無線機を珍しがって
遠く離れた友人と他愛のないやり取りを始めた
おかげでたった1台しかない無線機は、セレブのメッセージを送るのにフル稼働
そのため ある重要な情報をおろそかにしてしまう…
実は付近を航行していたカルフォルニア号から
“近くに氷山が流れている”という警告が送られてきていた
しかし当時の無線機では、その警告を受信している間は送信できない
そのため受信が邪魔で仕方がなかった通信士は、“黙れ!黙れ!俺は忙しい!”
というとんでもない返信をしてしまう
せっかくの警告を軽んじたタイタニック号は氷山に激突
およそ1500人もの死者を出す大惨事となった
このタイタニック号の事故で受信と送信を同時に行うことの重要性が分かり、
会話のできる無線機を開発するきっかけとなった
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●無線中継の考案
タイタニック号沈没ニュースは、アマチュア無線家によって世界中を駆け巡る
中には「全員生存」や「タイタニック号が港に到着」など誤った情報が多く含まれていた
アメリカ政府は、情報の混乱を避けるため、
アマチュア無線家に対して遠くまで届く電波の使用を禁止した
するとアマチュア無線たちは、
そんな規制にもめげず遠くまで情報を発信するための画期的なシステムを考案
彼らは短い電波でも中継させる事で遠くの相手とやり取りするシステムを考えた
携帯電話もサイズが小さいため発する電波が弱い
いくつもの基地局をリレーする事で世界中の相手と通話できる
タイタニック号の事故をキッカケに、アマチュア無線家たちは、
100年以上前に携帯電話ネットワークの基礎を考案していた
●周波数ホッピング
世界一美しいと言われたハリウッド女優:ヘディー・ラマー
最初の夫が技術者だった事もあり無線に関する最新の知識も持ち合わせていた
第二次世界大戦 真っ只中の1942年、
当時 アメリカ軍はナチスドイツの妨害電波や盗聴によって
通信が出来ない事に悩まされていた
ラマーは映画撮影の合間に、
そうした事態をどうすれば防ぐことが出来るのか?考えていた
アイデアの基になったのは、ピアノ
ピアノが次々と音を変えていくように無線通信を行う時、
伝搬周波数、チャンネルも次々と変えて行けば盗聴されないはず、と考えた
頻繁なチャンネルの変更は盗聴されない代わりに受信も困難となる
そこで思い付いた解決策が送信側と受信側で
チェンネルの変更パターンを決めておくというもの
そうすれば盗聴されず一対一でやり取りができる
ラマーはこのアイデアを海軍に持ち込んだが、
実用的ではないと突き返されてしまう
ラマーが考案した技術は、周波数ホッピングと呼ばれ、
1950年代になって警察や軍隊の無線に採用された
この周波数ホッピングのおかげで安心して一対一のやり取りができるようになった
そして1973年、初めての携帯電話が誕生する
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