夢の扉+で紹介
●酸に強い無敵のコンクリート
高度成長期に作られた日本の社会インフラは現在次々と悲鳴を上げている
中でも深刻なのがコンクリートの劣化
コンクリート研究者:一宮一夫
「寿命の長い次世代コンクリートを作りたい」
教師でもある一宮のパートナーは大分工業高等専門学校の教え子たち
コンクリートは酸に弱いため、どうしても劣化を引き起こす
下水管の破損による陥没は年間4700カ所
コンクリート製の下水管を蝕む原因の一つが汚水から発生する酸
それがコンクリートを溶かしてしまう
酸に強い下水管を作りたい、一宮はこの問題に27年前から取り組んでいる
そして今実用化を目指しているのが酸に強い次世代コンクリート
「ジオポリマー」
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濃度10%の硫酸水に従来のコンクリートとジオポリマーを浸してみる
4週間後、従来のコンクリートは溶けて小さくなったが、ジオポリマーは何の変化もない
ジオポリマーの強みは酸に強いだけではない
従来のコンクリートの材料は砂利と水と砂、そしてセメント
セメントは原料となる石灰石などを燃焼する際、大量のCO²が発生する
一方ジオポリマーは火力発電所の石炭灰を再利用するためセメントに比べCO²を70%削減出来ると云う
長寿命でエコ、ジオポリマーは次世代のコンクリート
西松建設 愛川技術研究所の研究員:原田耕司はこれまでにない新しい技術を探していた
目にとまったのが1988年にフランスで発表された次世代コンクリート:ジオポリマー
理論はあったものの実用化されていない新技術だった
この時、原田が協力を仰いだのが、コンクリート研究者の一宮だった
偶然にも20年以上も前から酸に強いコンクリートの研究をしていた一宮
一宮は二つ返事でそれを快諾
ところがジオポリマーの開発は失敗に次ぐ失敗だった
最初は最適な配合を見つけること
膨張したりヒビ割れたり、試行錯誤の日々が続き、配合を正解をようやく見つけた
そしてジオポリマーの実用化に向けたフィールド実験が始まった
実験の場所は酸性の温泉が休みなく流れ出る水路
コンクリートが溶けやすい過酷な環境
ここに通常のコンクリートとジオポリマー、それぞれのプレートを敷き劣化の度合いを検証する
1ヶ月後、コンクリートは変色し表面がザラザラに劣化
ジオポリマーはほとんど変化がなかった
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