夢の扉+で紹介
前国務長官ヒラリー・クリントン、マドンナ、ヤンキースのジーターと並んで
最も影響力のあるニューヨーカーに選ばれた
●犯罪都市NYを変えた宇田川信学
世界最悪と言われたニューヨークの地下鉄
暗い、汚い、危険…慣れた利用者でさえ決して使わない駅もあった
そんな地獄の地下鉄を甦らせたのが、工業デザイナー:宇田川信学
彼が犯罪を減らす為にとった方法はデザイン力
人々の行動を変える事で生活や社会を変え、みんなを幸せにする
最初に手掛けたのは自動券売機
意外なことに1999年まで自動券売機がなかった
乗車券は窓口で駅員から購入する
そのため、通勤ラッシュでなくてもお釣りの受け渡しに手間取り長蛇の列ができた
日本に当たり前にある券売機の常識はニューヨークでは通用しなかった
ニューヨークには自動販売機が少なく、地下鉄利用者の半数は銀行口座を持たない為、ATMの使い方さえ知らない
どうすれば券売機を使ってくれるのか?
デザインを考えるにあたり宇田川はニューヨーカーの暮らしを観察し続け、そのイメージを固めていった
はじめにお金を入れるタイプは大嫌いと分かった
ニューヨークの公共にある機械は壊れているモノが多いから
そこで宇田川は店で買い物をする時と同様に、買うものを決めてから代金を支払う券売機をデザインする
構想して1年…テストを実装したところ、予想を超える反応が
宇田川がデザインした券売機は誰もが慣れ親しんだ店員と客の対話を再現したものだった
一つの画面に質問は1つ、利用者は混乱することなく一つ一つの質問に導かれて簡単に乗車券を購入できる
対話型にした事で自動販売機に馴染みのない利用者の不安を取り除き、誰にでも使いやすい券売機が誕生した
券売機のデザインが高く評価された宇田川に世界中から続々とオファーが舞い込む
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●デザインの力で犯罪を減らす
ニューヨークの治安が最も悪かった1990年…特に地下鉄での犯罪は後を絶たず、
犯罪を取り締まれないニューヨークのシンボルと揶揄された
年間18000件以上の犯罪が地下鉄で発生し、安心、安全などとは程遠い状況だった
そこで宇田川に白羽の矢がたつ
地下鉄の車両デザインの依頼
宇田川はある理論に手がかりを見出した、それはブロークン・ウィンドウ理論
アメリカの心理学者フィリップ・ジンバルドが実証した理論
ガラスを少し割った車と割れていない車を放置…
1週間後、割れていない車は元のままだったが、割れていた車は他のガラスまで割られ、部品が盗まれ、落書きまでされていた
小さな犯罪を放置することが犯罪の多発や凶悪化につながるという理論
そこで地下鉄車両の壁を埋め尽くしている落書きを無くせば、犯罪を減らす助けになるのではないか?と考える
その方法を模索しながら地下鉄車両の中を隈なく見て回った
気になったのは車内の暗さだった
イメージしたのは落書きをする気が起こらない車両
照明の数は減っているのにも関わらず、明るく清潔感のある空間になった
床は黒を基調とした暗めの色
壁は模様を入れた白で明るく
床とのコントラストが壁の明るさを際立たせている
2000年7月、宇田川がデザインした車両の運行が開始された
翌日、宇田川の地下鉄車両は大きく報じられた
生まれ変わったニューヨーク地下鉄は乗客たちに大好評だった
その後、ピーク時に18000件以上あった地下鉄の犯罪件数は約8割も減少
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