夢の扉+で紹介
懸命の除染作業が続く福島
一方で増え続ける放射性物質に汚染された廃棄物の置き場は限界に達しようとしている
その量は南相馬市だけで1万トン、25mプール40杯分に相当する
そんな廃棄物を劇的に減らす可能性を秘める技術
開発したのはエジプト人科学者:シェリフ・エル・サフティ
「採算は度外視しても日本を救う事に研究の全てを捧げようと思いました」
自分を科学者として育ててくれた日本を見捨てたくなかった
●第二の祖国を放射能汚染から救いたい
シェリフはナノ材料工学という分野における世界的な権威
ナノ材料工学とは物質の大きさや形・組織構造を10億分の1スケールで制御する研究
そんなシェリフを育てたのは母国から1万キロ離れた日本だった
12年前、最先端のナノ材料工学を学びたいと来日、以来茨城の筑波にある物質・材料研究機構で研究を続けている
シェリフにとって大きな転機となったのが恩師:原田幸明との出会い
原田は廃棄された携帯電話やパソコンなどの家電からレアメタルを取り出し、再利用する研究の第一人者だった
シェリフは原田のレアメタル抽出技術をヒントにある画期的な物を開発する
それは人体に有害なヒ素の吸着剤
バングラデシュなど南アジアの国では高濃度のヒ素を含んだ井戸水による健康被害が深刻化している
シェリフが開発したのはティーバッグ型のヒ素吸着剤
来日から10年、シェリフは科学者としての実績を着実に積んでいった
2011年3月、福島第一原発がメルトダウン
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シェリフ家族が住んでいたのは福島第一原発から170㎞南のつくば市
「大至急、エジプトに帰国しなさい」母国の親族たちは繰り返し、シェリフに迫った
震災から1週間後、シェリフは家族と共にエジプトへ帰国
やがてシェリフの下に一通のメールが届く
差出人は恩師の原田氏「日本は放射能の問題に直面している。今こそ君の技術が役立つと信じている」
悩み抜いた末、シェリフはメールを返信した「Yes,I can」
エジプトの親族たちの反対を押し切り、シェリフは家族と共に日本へ戻った
福島で最も深刻な問題となっているのは拡散する放射性セシウム
シェリフは寝る間も惜しんで福島の人達を放射性セシウムから守るための研究に没頭した
目指したのはかつて開発したヒ素吸着剤を応用し、放射性セシウムを吸着する技術を開発する事
およそ1年、シェリフが開発したのはHOM(ホム)と呼ばれるセシウム吸着剤(High Ordered Mesoporous)
HOMはセシウムだけを狙って吸着させ、空気中のセシウムまで吸着させる能力がある
HOMの原料となる二酸化ケイ素、酸化アルミニウムの物質は無尽蔵にある砂の中にも存在する
期待される使い方の一つが放射能物質に汚染された廃棄物の減量
廃棄物は主に落ち葉や土、まずはそれを焼却し灰にして体積を大幅に減らす
灰には高濃度の放射性セシウムが残るが、その灰を水に溶かし、HOMでセシウムだけを取り除くことが出来れば、灰は汚染物質ではなくなる
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