夢の扉+で紹介
●花粉症根絶の切り札
富山県森林研究所の斎藤真己は花粉を全く飛ばさない杉を開発した
花粉を作る遺伝子が突然変異した無花粉スギ
無花粉スギ誕生のきっかけは19年前、ある人物からもたらされた報告事例だった
当時、林業試験場に勤めていた平氏
富山でのスギ花粉情報は実際に各地の杉を棒で叩いて調べているのだが、平氏はその担当者だった
ある日、いつものように富山市内で調査をしていたところ偶然出会ったのが、奇妙な杉だった
雄花がついているのにいくら叩いても全く花粉が飛ばない
林業試験場で長年研究をしていた平氏でも初めてのことだった
そこで平氏が共同研究を持ちかけたのが当時、斎藤真己が在籍していた岐阜大学大学院の研究室だった
斎藤真己は大学院終了後、富山の森林研究所に就職、研究を続けていく
花粉を作る遺伝子を「AA」、無花粉になる遺伝子を「aa」
「A」と「a」の両方の遺伝子を持つ杉「Aa」が存在するのではと云う仮説を立てた
「Aa」と無花粉スギ「aa」をかけ合せれば遺伝の法則によって生まれてくるのは半分の割合で無花粉になるはず
そこで斎藤は2つの遺伝子を併せ持つ杉を見つける為、全国の研究機関から花粉を取り寄せ、片っ端から無花粉スギと受粉させていくことにした
取り寄せたスギ花粉は300品種以上
花粉が取れる苗木になるまで3年
ひとつのかけ合せにつき50本以上育てる為、毎年数千本もの苗木が出来る
斎藤はそのすべてから雄花を取り、無花粉かどうか調べつづけた
杉の交配を続けて5年過ぎたある日の事、斎藤はいつもの通り、無花粉スギとの掛け合わせで出来た苗木の雄花を観察していた
斎藤は苗木から無花粉スギを見つけた
同じ苗木をかけ合せてできた苗木を全て夢中で調べた
その結果、116本の苗木のうち、花粉のある杉が52本、無花粉スギが64本、ほぼ半分の割合になった
5年がかりで仮説を実証した斎藤
その木と他の品種をかけ合せ、林業用の優良無花粉スギ「立山 森の輝き」を生み出した
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