夢の扉+で紹介
●弱いスギで巨大建造物に挑む飯村豊
日本人に馴染み深いスギ
柔らかくて使いにくく建材としては不向き
そんなスギに魔法をかけ最高の木材にしてしまう
毎年、巨人軍がキャンプを行う宮崎
室内練習場となる直径122mの巨大なドーム、実はスギで作られている
建設の責任者は宮崎県木材利用技術センター:飯村豊
木材を科学的に分析して加工技術の向上や製品開発を支援してきた
課題は国産スギの使い道を広げる事
日本中に植えられているスギだが、近年は輸入材におされあまり活用されていない
その為、日本の林業は衰退し、手入れされない杉の山林は荒れ放題
国産スギをもっと活用できれば日本の山はきっと健康になる
そんな飯村に12年前、宮崎県からある提案があった
地元の杉を使い町のシンボルになるような建造物が造れないか?
計画されたのは直径122mの巨大なドーム
スポンサーリンク
柔らかいスギは大きな建物に向いていない、それが常識だった
そこで飯村は徹底的にスギの性質を調べ上げ、柔らかさを克服する方法を模索した
スギの特製は潰れやすく復元力に優れている
柔らかいからこそしっかり重ねあわせることができ硬い木に負けない頑丈な木になる
切り出された木は7400本弱いスギが強い集成材へと加工された
通常はボルトで繋がれる木材と金具の接合
ところが柔らかいスギでは時間が経過すると共に隙間が生じ、ボルトが緩む可能性があった
そこで飯村は伝統的な木工技術:木殺しに目を付けた
スギは柔らかいため、小さめの穴でもピンが入り、逆に戻ろうとする力がしっかりと固定する
ピンを強く打ってもスギは柔らかいため割れる心配もない
こうしてすべての杉と金具がしっかりと接合されていった
大型クレーンで長さ10mを超える集成材を持ち上げては組み上げられていく
2700を超えるスギのパーツが巨大なドームに姿を変えていった
2004年、「木の花ドーム」完成した
総重量500トンを超える7400本ものスギで組み立てられた
直径122m、高さは最大38m
●スギのガードレール
国内総延長17万キロメートルの鉄の柵をスギに変える事が出来ればその需要は莫大
スギはベイマツの倍以上たわむことが分かった
急に折れるのではなくたわんで力を受け止めてから折れると云う特性がある
ガードレールは国が定めた安全基準を満たさないと実用化できない
スギのガードレールの実証実験が行われた
ハンドルを固定した無人の車を時速60キロで衝突させる
スギのガードレールが一瞬たわんで衝撃を吸収し、車は進路を立て直した
車は一部破損したが乗っていた人の安全は確保されている
スギのガードレールは見事国の安全基準をクリアした
スポンサーリンク
コメント