夢の扉+で紹介
もし首都直下型地震が起ったら建物の倒壊と共に甚大な被害をもたらすと言われているのが火災
そこで注目されているのが燃えない木材
開発したのは浅野成昭
彼の夢は燃えない木材を使い木造建築に革命を起こす事
●命を守る燃えない木材
木造建築で最も懸念されるのは耐火性
木は火に弱い、その常識を覆そうとしている
・アサノ不燃木材:福井県坂井市
彼が開発したのは燃えない木材
浅野の木材は燃えないだけではなく有害な煙も出さない
火災に強い建材は空港や駅などの床や壁など、様々な公共施設で使われ始めている
浅野が燃えない木材の開発をはじめたきっかけは、30年前の忘れ得ぬ出来事だった
当時、建築家として働く傍ら、消防団に所属していた浅野
ある日消化に駆け付けた現場で目を疑う
そこはかつて自分も暮した事のある母親の実家
思い出があっという間に炎に包まれていった
浅野はこの時48歳で決意した
残りの人生を燃えない木材の開発にかけてみよう
注目したのはホウ酸塩と云う物質
防虫剤や目薬などに配合されており難燃性がある
ホウ酸塩を水に溶かして木に染み込ませれば燃えなくなる、と考えた
しかし薄い濃度では不燃木材にならなかった
木材と同じ位のホウ酸塩の固形分が水溶液に入っていないと不燃性はできないと知った
それなら水溶液の濃度を高くすれば良い
ところがホウ酸塩は水に溶けにくい
出来るだけ濃度の高いホウ酸塩の水溶液を作っては実験を繰り返した
足かけ3年、ついに燃えない木材が完成
木が持つ温かな風合いはそのままに防虫効果もある
肝心の耐火性はバーナーの炎を近づけても表面が赤くなるだけで燃えることはない
木の繊維の細胞に染み込んだホウ酸塩は乾燥すると結晶化
炎の熱を感じたホウ酸塩は木材の水分を取り入れ、自ら火を消す
さらに溶けてガラス状になることで細胞をコーティング
これによって酸素が遮断され燃えなくなる
2002年7月:2億円の借金を抱え工場がスタート
類似品が世に出回っても浅野は価格を品質を落とさなかった
その思いは去年、国土交通省の調査で報われた
不燃木材を名乗る製品の品質が国が定める基準に達しているかを調べる抜き打ち検査
結果は検査対象10社のうち9社が不適合
唯一適正と評価された製品こそ浅野の燃えない木材だった
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