夢の扉+で紹介
体長2m、重さ150㎏にもなると云うエチゼンクラゲ
大量発生を繰り返し、漁業に大きな被害を与えてきた
愛媛大学農学部 客員教授:江崎次夫
江崎氏が目指すのは海のクラゲで山の緑を再生すること
●海のクラゲパワーで山を緑に
2008年8月、愛媛県今治市で起きた山林火災
国立公園でもある笠松山の森林が100ha以上に渡って焼失した
今も山の緑が回復していない
乾燥し養分が不足した土壌には木が根付きにくい
県や市と連携し荒れた山林を蘇らそうと苗木を植え続けている
海のクラゲから作った土壌改良材:クラゲチップを苗木に与える
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江崎氏の専門は環境緑化工学
自然災害や開発で荒廃した土地を植物により緑化・樹林化する研究
荒れた土地を効果的に緑化する方法を模索していた時、2005年のエチゼンクラゲ大発生のニュースを目にした
ヒントになったのはクラゲのみずみずしい姿
非常に多くの水分を含んだエチゼンクラゲは、必ず緑化に使えると考えた
地元でクラゲの珍味などを手掛けているマルトモ本社を訪ねた
“山を緑化するためクラゲの力を借りたい”と願い出た
緑化に役立つクラゲ加工品の共同開発がはじまった
植物は塩分に弱いため、クラゲから塩分を抜かないといけない
一部分の濃度の差を均一にしようとする浸透圧の作用で、クラゲ体内の塩分の含んだ水分を外に出してしまおうと考えた
水分の抜けたクラゲを細かく切って水洗い、60度の熱風をあて10時間かけてゆっくり乾燥させる
チップ上となったクラゲを土に混ぜ、保水材にしようと考えた
●クラゲチップの驚異の保水力
クラゲチップに水を加えると見る見るうちに水を吸い上げる
400mℓの水を20時間ほどで吸収し、大きく体積を増やす
50gのチップでおよそ8倍もの量の水を吸収した
さらにクラゲチップは化学肥料と同程度の窒素のほか、リン酸、カリウムと植物の生育を促す成分を豊富に含んでいた
クラゲチップは大量の水を溜めこみ、じっくりと根に水分を与え続け、分解されると天然肥料としての効果が発揮される
効果を確かめるために、自宅で3000鉢のポット試験を行った
クラゲチップの有り無しによる差は7か月で高さ10㎝にも達した
2008年、エチゼンチップを学会に発表
一定の評価は得られたが、日本で支援する企業や機関は現れなかった
しかし韓国政府の研究財団がクラゲチップに注目、2年前から江崎氏の研究を援助
さらにクラゲチップで中東の砂漠を緑化する計画も進んでいる
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