夢の扉+で紹介
愛媛大学 大学院教授:野村信福
廃油から取り出した水素で水素自動車を走らせる世界初の実験に取り組む
夢の扉の鍵は「液中プラズマ」
●世界初!廃油で水素カーを走らせる
福岡県前原市、ここに世界最大規模を誇る福岡水素タウンがある
150世帯で家庭用燃料電池の実証実験を実施している
二酸化炭素の排出量を減らすクリーンなエネルギーとして注目されている水素
各家庭に設置されている燃料電池
この中でLPガスから水素を取り出し、酸素と反応させ熱と電気に変換させる仕組み
このシステムで水素タウンに住む150世帯が削減したCO2は実に杉の木5000本分
水素はまさに次世代エネルギーとして注目されている
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そんな水素エネルギーの研究に情熱を燃やす愛媛大学 大学院教授の野村信福
彼は使用済みの廃油で水素自動車を走らせようとしている
国内で年間360万t以上排出されている廃油
そこから特殊な技術で水素を取り出し、それをエネルギーにしてしまうと云う
氷から水、そして蒸気へと変化するが蒸気をさらに加熱すると水の分子から電子が飛び出し、光り出す
これがプラズマ
空に輝くオーロラ、プラズマテレビが鮮やかに見えるのも同じ原理
そのプラズマを液体の中で発生させると水素ガスが泡立ち生まれる
廃油でも同様の原理で水素が出来ると云う
野村信福は8年前に世界で初めてマイクロ波を使い液中プラズマを発生させる事に成功していた
水素エネルギーを推進する野村信福が液体から水素を取り出すきっかけになったのが、今から10年前の居酒屋だった
工業用ダイヤモンドの合成の研究をしていた同僚と飲んでいた時の事
その時、同僚がつぶやいた「もし液体の中でプラズマが起こせたら氷みたいなダイヤが出来るのに…」
プラズマは気体の中で起こるが常識だった
液中プラズマを発生させるにはマイクロ波が必要だと考えた
しかし大学の研究費では高価な装置は買えない
そこで目をつけたのはマイクロ波を使って加熱する電子レンジ
安売りしている電子レンジを何台も買い込んでは実験を繰り返した
そして2年後、マイクロ波を使った液中プラズマを発生させる事に成功
液体から水素を効率よく取り出す方法を発見した
マイクロ波を放つアンテナの先でプラズマが発生すると、液中の水素は一旦バラバラになるが、プラズマから離れる時、水素ガスになる
水素ガスの発生と共に同僚の目的だったダイヤモンドの合成にも成功
パソコンの処理速度を上げる半導体への活用などが期待されている
廃油から取り出した水素で水素自動車を走らせる世界初の実験に取り組む
どこにでもある不要となった廃油をエネルギーとして有効活用すると云う画期的な試み
実験装置は常に電子レンジに廃油が供給され、水素に含まれている不純物を2カ所で取り除区システム
最終的に水素を特殊な金属に吸着させ運ぶ
今回の実験では大手ガスメーカーと自動車メーカーも全面協力
しかし一回の作業で取り出せる水素はわずか
トラブルのたびに中断しながら廃油から水素を取り出す作業は深夜まで続いた
提供された水素自動車は無事エンジンがかかり走り出し、実験は成功した
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